2007 Fiscal Year Annual Research Report
小型魚類をモデルとした脊椎動物における雄性ホルモン依存性の器官形成メカニズム解析
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19770197
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
荻野 由紀子 Kumamoto University, 生命資源研究・支援センター, 文部科研研究員 (00404343)
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Keywords | アンドロゲン / 二次性徴 / 進化発生学 / 血球血管分化 / メダカ / 遺伝子重複 / 分子進化 |
Research Abstract |
本年度は、雄性ホルモン(Androgen)がメダカ初期発生過程に果たす役割、Androgen receptor(AR)遺伝子の分子進化の過程を明らかにすることを目的とし、Androgen作用点の同定、Androgen依存性因子群の単離、解析に必要なtransgenic medaka系統の樹立、AR遺伝子の分子進化過程解析を推進した。 血管内皮マーカーであるFlk-1/GFP medakaへのAR Morpholino oligo導入実験より、血管内皮は分化するが、血球分化遅延が生じていることが明らかとなった。遺伝子発現解析の結果、ヘマンジオブラストマーカーであるLmo2、血球分化マーカーであるGATA-1遺伝子の発現が、AR Morpholino oligo導入胚において顕著に低下していた。また、AR antagonist投与実験より、初期発生過程におけるAndrogenの作用点は、少なくともヘマンジオブラスト分化期前後にあることが示唆された。さらに、発生段階特異的にwild type AR、あるいはdominant negative ARを時期特異的に発現するtransgenic medak系統をライン化し、研究の基盤が整った。 一方、祖先型の真骨魚類(アロワナ)からAR遺伝子を単離した。分子系統解析、Medaka Ensembl Genome Browserを用いた解析から、AR遺伝子は条鰭類の中で生じたfish-specific genome duplicationに伴い重複したと考えられた。これらAR遺伝子には転写活性化能および細胞内局在に相違を見いだしており、真骨魚類AR遺伝子は、遺伝子重複後、新たな機能を獲得したと考えられた。両遺伝子の生体内での使い分けが真骨魚類のreproductive diversificationへ如何に貢献したのか注目される。
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