2007 Fiscal Year Annual Research Report
条鰭類系統初期に分岐したポリプテルスの両生類型発生における体軸/胚葉形成機構
Project/Area Number |
19770202
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
竹内 雅貴 The Institute of Physical and Chemical Research, ボディプラン研究グループ, 研究員 (00392019)
|
Keywords | 初期発生 / 多様化 / 卵割様式 / 胚葉パターン形成 / 条鰭類 / ポリプテルス / sox17 / VegT |
Research Abstract |
脊椎動物における胚発生に共通の特徴は、卵黄を多量に獲得した点にある。卵黄の存在は直接的に卵割や形態形成へ影響するため、脊椎動物の初期発生様式はその分布様式に従って多様化した。卵割様式はその典型であり、ホヤ/ナメクジウオと共通する祖先的な全割卵から、多くの系統で盤割化が平行に起きている。脊椎動物における全割と盤割の発生で最も大きな違いは卵黄を割球細胞内に持つか卵黄細胞として胚体と区分するかであると考えられてきた。なぜなら両生類では卵黄を多量に含む植物極側割球は内胚葉の性質を持つためである。しかしながら、これまで脊椎動物の全割発生における知見めほとんどは両生類についてであった。 本研究では、より祖先的な全割発生をする脊椎動物であり、'条鰭類系統で最初に分岐したポリプテルスについて解析を行った。ポリプテルスにおいて、中胚葉(マーカー遺伝子:no-tail相同遺伝子)は赤道面付近に分化し、その植物極側に接した領域と胞胚腔床部でのみ内胚葉(sox17相同遺伝子)が認められた。割球化した植物極側細胞集団は胚葉へ貢献せず、真骨魚の卵黄多核層の様に中内胚葉誘導活性を持っていた。従って、この領域は真骨魚における卵黄細胞の進化的起源であると考えられる。さらに、ポリプテルスでは、両生類における胚葉パターン形成や体軸決定の分子機構で中心的な役割を果たすVegT相同遺伝子の母性発現が検出されない。これらのデータは真骨魚類における盤割化の前段階として、全割卵で割球化された胚体外卵黄細胞が存在する事を示すと共に、両生類で見られる胚全体での胚葉パターニングは卵割様式よりもむしろ母性VegTの発現と相関する事を示唆する。このようなポリプテルスの初期発生は、すべての四足動物・硬骨魚の進化的初期設定として盤割化を頻発させる基盤となった可能性がある。
|
Research Products
(3 results)