2008 Fiscal Year Annual Research Report
条鰭類系統初期に分岐したポリプテルスの両生類型発生における体軸/胚葉形成機構
Project/Area Number |
19770202
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
竹内 雅貴 The Institute of Physical and Chemical Research, ボディプラン研究グループ, 研究員 (00392019)
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Keywords | 初期発生 / 卵割 / 胚葉パターン形成 / ポリプテルス / ヤツメウナギ / 脊椎動物 / 条鰭類 / VegT |
Research Abstract |
両生類の発生では、全割卵で生じた割球のすべてが胚体を形成する三胚葉の一部となる.これは、原始的脊索動物と共通するため、概して脊椎動物め祖先的発生様式と考えられてきた。しかし、両生類の胚葉形成機構は母性のVegTが中心的役割を担う点で特徴的である。また両生類以外の、全割発生する脊椎動物については、胚葉形成の分子生物学的知見がこれまで全くなかった。本研究では、条鰭類系統で最初に分岐したポリプテルスと、加えて本年度は、現生脊椎動物で最初に分岐したヤツメウナギについて、胚葉形成機構の解析を行った。両者は両生類と類似の全割発生をする。 結果として、ポリプテルス/ヤツメウナギ胚で共通に、中内胚葉は赤道面近傍でのみ分化し、植物極側細胞集団(VCM : 両生類では内胚葉)は胚体外組織であった。また、両生類を除く他の脊椎動物と共通して、VegTでなくeomesoderminが母性発現(ゼブラフイツシュ、マウスで内胚葉分化に必要とされ、原始的脊索動物でも検出される)していた。さらに、ポリプテルスのVCMは、共培養により動物極側細胞を中内胚葉や誘導する活性を持っていた.類似の活性は、両生類では内胚葉に、他の脊椎動物では胚体外組織(真骨魚の卵黄多核層YSLを含む)に由来する。 これらの結果から、脊椎動物初期発生の多様化について以下の仮説を提唱した。現生脊椎動物の共通祖先で、胚に含まれる卵黄量が劇的に増加し、それに伴ってVCMは胚体外組織へ特化した(ポリプテルス/ヤツメウナギが保持)。胚盤と一つの大きな卵黄細胞を形成する盤割は、羊膜類/真骨魚類/軟骨魚類などの系統で、VCMが進化的に融合し獲得された。その際、羊膜類でVMCは胚体外組織(羊膜、漿膜など)の起源となった。両生類においては母性VegTの発現と機能を独自に獲得し、二次的にVMCを内胚葉へ分化させた。本仮説は教科書的見地を覆す画期的なものと自負している。
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Research Products
(3 results)