2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19770210
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松尾 隆嗣 Tokyo Metropolitan University, 理工学院研究科, 助教 (70301223)
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Keywords | 進化 / 行動学 / 生態学 / 遺伝学 / 神経科学 |
Research Abstract |
セイシェルショウジョウバエDrosophila sechelliaはMorinda citrifoliaの熟果のみを繁殖場所とする。この食性を決定する原因遺伝子の一つとして,odorant binding protein(OBP)57dおよびOBP57eが同定された。セイシェルショウジョウバエとキイロショウジョウバエに近縁な26種のゲノム配列を比較したところ,この2つの遺伝子が重複と欠失を繰り返して急速に進化していることが明らかになった。本課題ではこのゲノムレベルでの進化のパターンが生物学的にどのような意義を持つのかについて,実験的に検証することを目的としている。 平成19年度の研究成果として,キイロショウジョウバエ種群に属する3種由来のObp57dとObp57eの発現様式を解析し,これらの種がキイロショウジョウバエとは異なる発現パターンを持つことを明らかにした。また,機能解析実検の準備として,Obp57dおよびObp57eのノックアウト系統を行動学的に解析し,この2つの遺伝子が炭素数6〜9の直鎖脂肪酸の忌避に関わることを明らかにした。さらに,Ga14/UASシステムを用いた遺伝子機能回復実験により,これら2つの遺伝子が味覚に基づいた産卵場所の選択に必要であることを示した。これにより,次年度の機能解析実験の準備が完了した。 これらの結果および今後の研究により,配列比較による理論上の研究にとどまらず,実験に基づくいわゆるEvo-Dev的方法論にのっとった進化行動学の新領域が拓けると期待している。
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Research Products
(5 results)