2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物性染色体の進化-雌雄異株と雌性両全性異株を利用した性決定遺伝子の単離
Project/Area Number |
19770212
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西山 りゑ The Institute of Physical and Chemical Research, 機能開発研究チーム, 基礎科学特別研究員 (10443003)
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Keywords | 雌雄異株植物 / 性染色体 / 進化 / ヒロハノマンテマ / 遺伝地図 / FISH / 染色体再配列 |
Research Abstract |
X,Y性染色体で性決定する雌雄異株植物ヒロハノマンテマ(Silene latifolia)をもちいて、性染色体上の遺伝子の相対的な位置をX染色体の組換え価とFluorescent in situ hybridization (FISH)解析により決定し、X,Y性染色体の地図を作成することを目的とした。まず2系統のヒロハノマンテマの多型を利用して、雄蕊と花弁形成に関わるSIAP3遺伝子がX,Y性染色体上に存在することを明らかにした(SIAP3Y, SIA3X)。X性染色体上にあるSIAP3遺伝子と既知の4つのX染色体遺伝子の相対的位置を、組換え価より算出しX染色体の遺伝地図を作成した。そしてY染色体欠損変異体をもちいたY染色体遺伝地図(Zluvova et.al. 2005)と比較した。さらにFISH解析でSIAP3Y, SIAP3X遺伝子の性染色体上での位置をマッピングし、遺伝地図情報に付け加えてX,Y性染色体の細胞学的地図を作成した。またSIAP3Y, SIAP3X遺伝子のイントロンを含むゲノム配列を明らかにし、イントロン中の塩基配列変異率を計算した。イントロン変異率と染色体地図上り位置をSIAP3Y, SIAP3X遺伝子と既知の4つの性染色体遺伝子とで比較し、ヒロハノマンテマの性染色体がどのように進化したのか考察した。これらの結果は原X,Y性染色体のPARから遠い領域から変異が蓄積し現在のX,Y性染色体へ進化していったという従来の性染色体進化仮説を覆すものであり、ヒロハノマンテマの性染色体は複雑な染色体再配列によって現在の形に進化したことが示唆された(論文2報投稿中)。
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Research Products
(3 results)