2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19770214
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
中山 一大 Jichi Medical University, 医学部, 助教 (90433581)
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Keywords | 遺伝子 / 生活習慣病 / 進化 / 人類学 / 多型 / モンゴロイド |
Research Abstract |
モンゴロイドにおける新規生活習慣病感受性遺伝子を検索する目的で、小胞体ストレス反応関連分子を含む多数の遺伝子座について、モンゴル人における2型糖尿病との関連性を調査した。その結果、FATP4遺伝子ならびにACSF2遺伝子領域内の一塩基多型(SNP)が、患者群-対照群間で有意な頻度の差を示した(P<0.005)。また、ACSF2遺伝子の当該SNPの遺伝子型は、健常者集団におけるインスリン抵抗性(HOMA-IR)との相関を示した(P<0.05)。さらに、HapMap計画で得られた4民族集団のゲノムワイドなSNP遺伝子型データに対して、VoightのiHS統計量を用いたテストを行った結果、これら二つの遺伝子を含むゲノム上の領域に、Recent positive selectionが作用した可能性が示された。上記2遺伝子はともに脂質代謝に関与していると考えられており、モンゴロイドにおけるいわゆる倹約遺伝子の候補のひとつであると考えられる。 アジア・太平洋地域の5民族集団(モンゴル人、中国人、日本人、タイ人、パラオ人からなる計1878人)について、生活習慣病との関連性が指摘されている既知の106遺伝子多型の遺伝子型判定を行い、その分布比較を行うことによって、民族特異的な代謝特性の遺伝的背景の調査を行った。その結果、インスリン抵抗性と関連するTRIB3 Gln84Argバリアントが、パラオ人において高頻度で存在していることが明らかになった。ミクロネシア・ポリネシア地域の諸民族では2型糖尿病の発症率が非常に高いことが知られており、TRIB3 Gln84Argはその遺伝的背景の一端を担っているものと考えられる。
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Research Products
(6 results)