2008 Fiscal Year Annual Research Report
日常生活における光・温熱環境が及ぼすヒトの環境適応能への影響に関する研究
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19770216
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
戸渡 智子 (上野 智子) Fukuoka Women's University, 人間環境学部, 助教 (80336966)
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Keywords | コルチゾール / メラトニン / 環境適応能 / サーカディアンリズム |
Research Abstract |
平成20年度は前年度に引き続き、7日間のフィールド調査を各季節において実施した。日常生活において曝される温熱・光環境について、年間を通した実態調査を行うと同時に、唾液分析によりホルモン分泌量を測定し、四季の比較および環境要因と内分泌挙動との関係について検討した。被験者周囲の温熱環境は四季の気候変動に伴う変化が確認された。測定期間中に浴びた光の平均照度は冬季において夏季と秋季より低く、活動量も冬季において少ない傾向にあった。メラトニンの分泌相は、夏季に夜間の分泌量が多い傾向にあったが、値の個人差が大きかった。コルチゾールの分泌相は、冬季において他の季節と比較して低い分泌量を示した。環境要因(温熱.光環境)と内分泌挙動との関係については、個人内の変動を調べるため多重回帰分析を行った結果、コルチゾール分泌量と気温、メラトニン分泌量と照度別曝露時間に有意な相関が認められた(p<0.05)。すなわち、コルチゾール分泌量と平均気温において正の相関がみられ、気温が高いほど1日のコルチゾール分泌量が多いことが示された。メラトニンは、唾液採取日の日中により多くの中・高照度光(≧500・1000・5000・10000 1x)を浴びるか、あるいは夜間に光(≧100.5001x)を浴びた被験者ほど夜間の分泌量が少ないという相関がみられ、日中と夜間における受光履歴の複合的な影響が示唆された。また、個人間の比較を目的として行った主成分回帰分析では、各期間で測定を行った7目間における高照度光(≧10000 1x)への曝露時間とメラトニン分泌量との間に負の相関がみられた。以上のことから、個人のメラトニン分泌量の変動にはその日の受光履歴が関係し、分泌量の個人差には長期的な受光履歴が関係していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)