2008 Fiscal Year Annual Research Report
イネの環境シグナルの受容と相転移メカニズムの分子学的解析と育種への応用
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19780001
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
横井 修司 Iwate University, 農学部, 准教授 (80346311)
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Keywords | 育種学 / 遺伝子 / シグナル伝達 / 植物 / ストレス |
Research Abstract |
本年度はシロイヌナズナ野生型、GIGANTEA(GI)変異体(gi-3)を用いたストレス処理と開花経路のクロストークについて分子学的な解析を行った。 シロイヌナズナ野生型を長日条件(16時間明期/8時間暗期)においてMS培地上で生育させ、31日後に0mM・150mM・200mM・250mMの塩ストレス処理を3日間行い、その後に塩を含まない培地に戻して開花までの葉数(ロゼット葉)を測定した。その結果、野生型では塩処理を施した場合にロゼット葉の枚数が減少し、開花が早まることを明らかにした。野生型とgi-3変異体に250mMの塩処理を行ったところ、gi-3変異体では野生型と比較して塩処理に感受性が高いことを見いだした。また、塩処理後30分・1時間・2時間・5時間と経時的に葉をサンプリングし、ストレス特異的に発現上昇するrd29A遺伝子の発現を調査したところ、野生型では処理時間に応じて発現上昇が確認されたが、gi-3変異体においては野生型の数倍〜数十倍の高い発現が確認された。これによりgi-3変異体では塩処理によるストレスシグナル経路が野生型よりも活性化されており、塩ストレスに対して非常に感受性が高まっていることが予想された。同様に低温処理(4℃)によるrd29Aの発現パターンを確認したが、野生型との差異は見られなかった。以上より、GI遺伝子は塩ストレスに特異的に機能しており、開花経路とストレス経路のクロストークに機能している可能性が示唆された。
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