2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19780004
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松浦 恭和 Okayama University, 資源生物科学研究所, 技術職員 (10379810)
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Keywords | 育種 / コムギ / 穂発芽 / 種子休眠 / アブシジン酸 |
Research Abstract |
白粒コムギの栽培上問題となる「穂発芽」を回避するため、所有コムギ系統中、発芽抑制効果の高い植物ホルモンアブシジン酸(以下ABA)の感受性が最も高いOW104と所有白粒コムギ系統の中で最も種子休眠能力の高いAUS1408の交配後代から種子休眠能力とABA感受性で選抜することで穂発芽耐性白粒コムギの作出を試みた。白粒コムギを利用した研究の多くが雨の当たらない温室で行われているが、本研究課題では実際の栽培における穂発芽耐性材料の育成を目指しているため圃場栽培で試験を行った。 平成21年度は、前年度の選抜により得られた白粒コムギ系統の自植後代、16系統341個体と交配親のOW104、AUS1408の2系統、穂発芽耐性評価基準品種4品種を栽培し、合計約4000穂の開花日の調査,含水率が20%を切る開花後45日の種子を採取し、種子休眠能力、ABA感受性を調査した。有望白粒系統1-117-7の種子休眠試験では、GI (Germination Index:数字が大きいと発芽しやすい)が0.04と穂発芽性難赤粒品種である北系1354(実験を行った岡山地方ではほとんど穂発芽しない)のGI0.25を上回り穂発芽性極難赤粒品種であるゼンコウジコムギ(岡山地方では穂発芽しない)のGI0.04並の種子休眠能力を示した。この系統を含め選抜を行った白粒系統は、種子休眠能力が高いとされる白粒コムギAUS1408 (GI0.36)、タマイズミ(GI0.22)を大きく上回っており、種子胚のABAに対する感受性も同様に上回っていた。 種子休眠能力の高いコムギ系統は穂発芽耐性も高い。穂発芽性極難品種並みの種子休眠能力を示す白粒系統1-117-7を育成できたことから、本課題の目標である穂発芽耐性白粒コムギ作出は概ね達成できた。得られた成果を北海道で2010年1月に開催された穂発芽研究会にて報告した。
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