2008 Fiscal Year Annual Research Report
経口医薬輸送担体としてのイネ種子プロテインボディの特性評価
Project/Area Number |
19780012
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
高木 英典 National Institute of Agrobiological Sciences, 遺伝子組換え作物開発センター, 任期付研究員 (90414911)
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Keywords | 遺伝子組換えイネ / プロテインボディ / 経口免疫寛容 |
Research Abstract |
本年度では、まず、昨年度中に作出した、スギ花粉アレルゲン由来T細胞エピトープペプチドを、PB-1あるいはPB-2にのみ集積する、二種類の遺伝子組換えイネ種子(PB-1集積型とPB-2集積型)のホモ個体を選抜し、マウスヘの経口投与試験を実施するために必要となる、当該イネ種子の栽培・収穫を実施した。得られたイネ種子を、微粉末化し、生理食塩水中に懸濁して、一定期間、マウスに経口投与した。その際、T細胞エピトープペプチドの投与量を数段階に分けたマウス実験群を設定した。その後、スギ花粉蛋白質抽出液と、アジュバントであるアラムとの混合液をマウスに腹腔投与し、血清中のスギ花粉アレルゲン特異的IgE抗体量を指標として、二種類の遺伝子組換えイネ種子(PB-1集積型とPB-2集積型)の効果を比較した。その結果、PB-2集積型よりも、PB-1集積型の方が、より少ないT細胞エピトープペプチドの投与量で効果を示すことが分かった。また、人工胃液を用いて、二種類のイネ種子の消化実験を行い、T細胞エピトープペプチドの消化性に対するPB顆粒の影響を調査した結果、PB-2集積型と比較して、PB-1集積型の方が、消化酵素処理に対して高い抵抗性を示すことが分かった。これらの研究の成果から、スギ花粉アレルゲンT細胞エピトープペプチドを小腸へ輸送する担体として、PB-2よりもPB-1の方が優れていることが分かった。本研究の成果は、スギ花粉アレルゲンT細胞エピトープペプチドに限らず、コレラやエイズなどの感染症をターゲットとするペプチド/タンパク質医薬についても適応されると考えられ、また、大豆・トウモロコシ・イモ・バナナなど、イネ種子以外の植物を用いた植物分子育種技術の開発に対して、新しい問題意識を提起するものであり、今後、より有効な植物型医薬成分発現系の開発に貢献するものと期待される。
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