2009 Fiscal Year Annual Research Report
緑肥作物を用いた種多様性によるバイオマス増加、安定への効果とそのメカニズムの解析
Project/Area Number |
19780015
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
宮沢 佳恵 National Agricultural Research Organization, 東北農業研究センター・カバークロップ研究チーム, 主任研究員 (40370613)
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Keywords | 混植 / 環境変動 / 相互作用 / マルチカラー染色 / 密度効果 |
Research Abstract |
植物の種多様性と生産性や安定性との間には正の相関関係があることが示されている。本研究では、種多様性の高い植生に見られる現象を緑肥作物栽培に応用し、緑肥を混作で栽培することによるバイオマスの増加効果を検証し、そのメカニズムの解析を行った。 供試作物として、マメ科植物、C4植物、C3植物からそれぞれ播種時期が同じで乾物収量が多く、アレロパシー効果の影響の少ないクロタラリア、ソルガム、ヒマワリを選定した。処理として、3種それぞれの単作、2種ずつの組み合わせの混作、および3種類の混作の計7種類の作付け区を設け、3反復、4作期の生育と収量を調査した。 単作の地上部バイオマスは、年次や季節によって異なった。特に、ソルガムは堆肥を投入した直後の2008年に極端にバイオマスが大きくなった。また、クロタラリアはキャベツ栽培後で無機態窒素量が高かった2009年にバイオマスが少なくなり、ソルガムとの混植ではほとんど生育しなかった。ソルガム・ヒマワリ、およびソルガム・クロタラリア・ヒマワリの混作下では、単作に比べてバイオマスが大きく、さらに作期間の変動係数が小さかった。混作下で安定して高いバイオマスが得られたメカニズムとして、それぞれの作期の環境条件に適した種が台頭することで、適さなかった種のバイオマスの減少が補填されたことが考えられる。これは、作期毎に3種のバイオマスの比率が異なっていたこと、生長解析や根系分布の解析によると光や養水分の条件改善や、植物間のプラスの相互作用の影響が見られなかったことなどから示唆された。
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