Research Abstract |
1. 養液栽培の培養液管理方法の確立:パプリカを供試し,培養液管理は閉鎖型循環式として(1)EC値を1.5dS/mに設定した自動肥料管理機利用区,(2)減少分追加する区,排液排出型として(3)すべて更新する区,(4)かけ流し,再利用しない区を設け比較栽培を行った.その結果,収量は更新区で最高となったが,EC区と有意な差異は認められなかった.7ヶ月以上の長期にわたり栽培を続けてきたが,EC値を基準とした管理区では,試験終了間際に多少成分バランスが崩れたものの,それまではほぼ安定していた.EC値を基準とした培養液管理は自動化され省力であるのみならず,過剰な肥料供給を抑え,排液を出さない大きなメリットがあるため,環境負荷軽減に多いに貢献できるものと思われた. 2. 生理障害発生要因の解明と対策:キャベツ,セルリー,レタスを供試し,(1)基本培養液K/Ca=2,(2)基本+k_2SO_4でK/Ca=4, (3)基本+KCIで K/Ca=4,(4)基本+K_2SO_4でK/Ca=6,(5)基本+KC1でK/Ca=6,(6)基本+K_2SO_4でK/Ca=8,(7)基本とKCIで K/Ca=8のKとCaバランスを変えて液肥灌水処理を行った.その結果,キャベツとレタスの生育はK_2SO_4を用いた2区で最も優れ,結球重も重くなったが,セルリーではKCIを用いた3区が優れ,作物により好適塩の種類は異なった.キャベツとレタスの葉内Ca含有率は外葉で高く,結球内葉で低下し,セルリーでも同じ傾向であった.またK/Caが高まるにつれてCa含有率は低下したが,同K/Caバランス内ではK_2SO_4を用いた場合に低下する傾向が認められた.レタスのチップバーン発生は,K_2SO_4区で著しく,K/Caが高まるにつれて一層助長された.以上より,K/Ca比が高くなると根からのカルシウム吸収が抑制され,外葉から内葉の葉縁部にかけてチップバーンの発生を誘発することが明らかとなった.
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