2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原糸状菌の葉面接着制御による病害防除法の基盤整備
Project/Area Number |
19780036
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
池田 健一 Kobe University, 自然科学系・先端融合研究環重点研究部, 助教 (40437504)
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Keywords | いもち病菌 / 細胞外物質(ECM) / 接着 / 生物防除 |
Research Abstract |
いもち病菌の接着を剥離させる能力を持つ微生物群の探索を目的として、今年度はさらに、土壌などの環境中に生息している微生物群より、ゼラチン分解活性を有する菌株の選抜を試みた。土壌サンプルなどに含まれる微生物を、希釈し、プレート上にコロニーを形成させ、滅菌したセルロースメンブレンを用いてレプリカを作製し、ゼラチン含有プレートにて培養を続け、ゼラチン分解活性の検出を行い、顕著な分解活性を有する菌株を選抜した。その結果、Cryseobacteriumsp.およびPseudomonas sp.が選抜された。 また、これまでに選抜された菌株の酵素学的特徴付けを進めた。キレート剤を処理することにより、分泌された酵素は、カルシウムあるいは亜鉛要求性の金属プロテアーゼに分類できることが明らかとなった。また、いもち病菌GUY11を用いた結果、選抜された微生物を処理することによって、感染器官が剥離しやすくなったことを確認した。 一方、いもち病菌の接着能力に関する特性を明らかとした。タンパク質分泌系阻害剤、レクチンを処理した結果より、いもち病菌の接着には1,3-D-マンノースを含む糖タンパク質が重要であることが明らかとなり、さらに遺伝子サイレンシング法により、細胞外の主要構成因子であるハイドロフォビンの一種Mpg1が接着に大きく関わっていることが明らかとなった。さらに、栄養源を添加した場合に、天然培地の酵母エキスを処理すると、胞子は通常と異なり、膨潤・分岐しながら分化し、接着力・病原力が全く無くなることが明らかとなった。胞子発芽をコントロール可能な低分子ペプチドを明らかにすることができれば、接着力・病原性を制御可能となることが期待される。
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Research Products
(9 results)