2008 Fiscal Year Annual Research Report
白かび病菌由来ポリガラクツロナーゼのキメラタンパク作出による病原性決定構造の解明
Project/Area Number |
19780037
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中村 正幸 Kagoshima University, 農学部, 助教 (90404475)
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Keywords | 白かび病 / ポリガラクツロナーゼ / プロトペクチナーゼ / 病原性 / キメラタンパク / Geotrichum candidum |
Research Abstract |
前年度は、白かび病菌非病原性株由来ポリガラクツロナーゼ(PG)の触媒部位の上下を含んだ領域を病原性株由来PGの同領域と組み換えたキメラタンパクの作出を行ったが、本年度は、作出に成功したキメラタンパクの高効率発現を目指した。その結果、酵母の株によりPGの発現量が異なること、また、糖鎖の修飾による発現の妨げなど、キメラタンパク発現のための問題点が浮かび上がった。その条件の中、酵素活性を測定可能なレベルまで発現する酵母のスクリーニングに成功した。本酵母より得られた、PGキメラタンパクを用い、PG活性およびプロトペクチナーゼ(PP)活性の測定を行った。その結果、本キメラタンパクは、非病原性由来PGと同様に、PG活性は認められるが、PP活性は全く認められなかった。また、レモン果皮に対しても、軟腐症状を示さなかった。以上の結果から、PGの触媒部位を挟んだ領域の構造の違いが、基質(プロトペクチン)との結合に影響し、その結合能が病原性を左右していることが示された。加えて、病原性および非病原性由来PGの予測二次構造を比較してみると、構造の違いには、α-ヘリックスのフォーメーションと数の違いが反映していることも分かった。今回得られた知見は、これまで、なぜ非病原性微生物や植物にまでもPGが存在するにも拘わらず病原性に繋がらないのか不明であった事実を説明付けることができる。さらに、植物細胞壁分解酵素が関わる病害に対する新たな防除法を確立するための基礎的研究となる。
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Research Products
(2 results)