2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19780042
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 幸治 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 助教 (00346834)
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Keywords | 環境 / 酵素 / 昆虫 / プロテオーム / 農薬 / 耐性 / 応用昆虫 / 分子生物学 |
Research Abstract |
申請者は、カイコ(Bombyx mori)を対象として、その生体外異物の解毒代謝に関与する解毒酵素群について研究をすすめている。代表的な第二相解毒酵素であるグルタチオン転移酵素(GST)は、生体外異物ならびに内因性の求核化合物に還元グルタチオンを抱合し、体外への排出を促進する。GSTは遺伝子ファミリー(class)を形成しており、複数のアイソザイムが存在することが分かっている。申請者は、これまでdelta(bmGSTD)、sigma(bmGSTS)、omega(bmGSTO)そしてzetaclass(bmGSTZ)に属するカイコGSTを同定した。本年度は、新たに1種のepsilon classGSTのクローニングに成功した。ノーザン解析ならびにRT-PCR法により組織局在性について調査した結果、これらのmRNAは5齢幼虫の組織中に広く分布していることが分かった。-方、特異抗体を用いた免疫染色の結果、それぞれのGSTタンパク質は脂肪組織中においてのみ発現していることが明らかとなった。次に上記5種GSTの組換え酵素発現系を構築した。これら組換え酵素の基質特異性を反応速度論的に解析したところ、bmGSTD、bmGSTS、bmGSTOについては生体外異物1, 2-ジクロロ-4-ニトロベンゼン(CDNB)および内因性の脂質過酸化物4ヒドロキシノネナル(4HNE)に対してグルタチオン(GSH)転移活性を有しており、生体外異物代謝ならびに膜脂質の酸化的障害の修復に関与することが示唆された。bmGSTZに関しては、CDNBならびに4HNEに対して転移活性は検出されなかったため、各種基質を用いてその特異性を網羅的に解析した。その結果、塩素化合物の一種であるジクロロ酢酸へのGSH転移活性そして脱塩素化反応を触媒していることが明らかとなった。塩素化合物をカイコ幼虫に塗布したところ、脂肪組織中にbmGSTZタンパク質が過剰に発現することが免疫染色により認められた。以上のことより、bmGSTZは塩素化合物の解毒に関与することが示唆された。
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Research Products
(5 results)