2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19780049
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
佐藤 孝 Akita Prefectural University, 生物資源科学部, 准教授 (50315602)
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Keywords | 根粒菌 / ダイズ / 土壌環境 / 多様性 |
Research Abstract |
田畑輪換作付体系の土壌環境変化に、ダイズ根粒菌がどのような生存戦略で対応しているかを明らかにし、ダイズ根粒菌の生態を把握することを目的とした。土壌環境が大きく異なる水田転換初年目(水田)土壌と畑地土壌(ダイズ作3年目)において、ダイズ根粒菌の遺伝的多様性をPCR-DGGE法により比較した。また、圃場の排水性が異なる水田転換畑から土壌を採取し、ダイズ根粒菌の多様性を比較した。さらに、土壌水分条件を変化(畑条件と水田条件)させて、土壌を30℃で30日、60日間培養し、培養土壌からダイズ根粒菌を分離して、その生理的・遺伝的特徴の解析を進めた。 水田土壌と畑地土壌では、表層土壌ではダイズ根粒菌の遺伝的多様性に大きな違いはなかったが、下層では水田土壌で多様性が小さくなり、畑土壌では比較的表層の多様性が維持されていた。水田圃場は、灌水と落水により土壌が還元、酸化を繰り返すが、表層は夏期の落水以降に土壌の乾燥・酸化が進むため、表層ではダイズ根粒菌の生存・増殖に適した土壌環境となったと推察された。水田下層では、落水後も還元的な条件が続くため、ダイズ根粒菌の生存には不利な土壌環境となり、ダイズ根粒菌の生存数や多様性も低下すると考えられた。 水田転換初年目(水田)土壌と畑地土壌(ダイズ作3年目)から、ダイズ根粒菌をそれぞれ約50株ずつ分離することに成功した。各分離根粒菌株よりDNAを抽出し、16S-23S-rDNA-ITS領域をターゲットにして、RFLP解析を進めている。これを基にしてクラスター解析をし、分離菌株の遺伝的多様性を解析する予定である。 また、土壌水分条件を変化させて培養した土壌を採取し、土壌懸濁液をダイズに投与して栽培して、形成された根粒からダイズ根粒菌を分離中である。根粒菌を分離後は、各ダイズ根粒菌株の遺伝的特徴と生理的特徴を解析する予定である。
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