2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19780050
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
間崎 剛 Nagoya University of Arts and Sciences, 管理栄養学部, 助教 (10387912)
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Keywords | ダイズ(大豆) / 発芽 / 種子貯蔵タンパク質 / タンパク質分解 / プロテアーゼ / 発現制御 / 植物生理 / アレルゲン |
Research Abstract |
様々な加工食品や栄養補助食品の原材料として頻用されているダイズ種子にはアレルキーを誘発するタンパク質(アレルゲン)が含まれていることから、近年ではその除去や低減化法の確立が求められている。一方、我々のこれまでの研究から、主要なダイズアレルゲンであるGly m Bd 30K、Gly m Bd 28K、β-コングリシニンのα-サブユニットは発芽後の芽生え個体の成長を支えるための窒素源として種子に貯蔵されており、発芽後の特定の生育時期に発現・活性化するタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)によりそれらのアレルゲンは分解される運命であることを示唆する結果が得られている。我々は、ダイズアレルゲンを分解するプロテアーゼの発現・活性化機構を解明することが一般的な調理・加工法では低減化させることが困難なこれらのアレルゲンを除去する新奇の低減化方法の開発につながると考え、これまで研究を進めてきた。 アレルゲンを分解するプロテアーゼの発現・活性化に影響を及ぼす内外因子の特定を目指して行った本年度の研究から、種子の耐乾燥性に関与する植物ホルモンであるアブシジン酸を与えてダイズを生育させたときに、生育に伴うアレルゲンの減少が緩やかになることが明らかとなった。このことから、アレルゲンを分解するプロテアーゼの発現・活性化は種子の吸水に伴う内生アブシジン酸の減少によりもたらされると考えられる。さらに、光存在下で液体肥料を与えてダイズを生育させた場合には、暗条件下で水道水を与えてダイズを生育させた場合に比べてアレルゲンは急激に減少するという結果が得られた。このことから、ダイズ個体が活発に成長して分化していくことがアレルゲンを分解するプロテアーゼの発現誘導や活性化をもたらすと考えられる。本研究で得られた成果は、今後ダイズアレルゲンを分解するプロテアーゼを単離・同定していく上で、またその挙動を分子レベルで解明していく上で有効な情報となると考える。
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