2008 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌特異的オルガネラであるWoronin bodyの機能解析
Project/Area Number |
19780053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸山 潤一 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (00431833)
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Keywords | 糸状菌 / Woronin body / 選択的スプライシング / 麹菌 |
Research Abstract |
真正子嚢菌綱に属する糸状菌は、多数の細胞が連なった菌糸として生育する。隣接する細胞は隔壁により仕切られ、そこにあいた小さな穴である隔壁孔を通じて細胞間連絡を行っている。真正子嚢菌綱に属する糸状菌に特異的に存在するオルガネラWoronin bodyは、通常隔壁近傍に球形の構造として観察されるが、菌糸損傷時には隔壁孔をふさぎ、隣接する細胞への溶菌の伝播を防ぐ働きを有する。これまでに研究代表者は、Woronin body形成に必要なAohexl遺伝子を麹菌Aspergillus oryzaeよりクローニングし、選択的スプライシングによって2種類の遺伝子産物が発現することを明らかにしている(Maruyama et al, 2005)。本年度は、2つのAoHex1の機能を解析するため、Aohwx1破壊株にスプライシング型sAoHex1または非スプライシング型nsAoHex1を単独で発現させることで、それぞれの相補能を調べた。その結果、sAoHex1は破壊株を相補したのに対し、nsAoHex1のみでは完全には相補できなかった。よって、Woronin bodyの機能は、主にsAoHex1が担っていることが示唆された。さらに、透過型電子顕微鏡によりWoronin bodyの形態を観察した結果、sAoHex1単独発現株では通常とは異なる六角形の構造が観察された。一方、nsAoHex1単独発現株では不定形をしたものが多く観察された。このことから、2つのAoHexlタンパク質の構成によってWoronin bodyの形態が変化することが明らかとなった。 以上の結果により、Woronin bodyの機能と形態にAohwxlの選択的スプライシングが関与していることが示唆された。
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Research Products
(12 results)