2007 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気性微生物に特異な新規脂肪酸変換反応の探索と解明
Project/Area Number |
19780056
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸野 重信 Kyoto University, 農学研究科, 助教 (40432348)
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Keywords | 嫌気性微生物 / 乳酸菌 / リノール酸 / 水酸化脂肪酸 / 微生物変換 |
Research Abstract |
申請者は、様々な生理活性を有する機能性脂質として注目を集めている共役リノール酸(CLA)をリノール酸(cis-9,cis-12-octadecadienoic acid)から効率よく変換する乳酸菌の取得に成功している。本菌は、リノール酸をCLAへと変換する際に、まずリノール酸を水和しヒドロキシ脂肪酸へと変換することを明らかにしている。本年度では、嫌気性微生物の中でも乳酸菌を対象としてリノール酸をユニークな脂肪酸へと変換する新たな脂肪酸変換反応の探索を行った。その結果、乳酸菌Pediococcus sp. LBK454がリノール酸をユニークなヒドロキシ脂肪酸へと変換することを見出した。Pediococcus sp. LBK454をリノール酸とともに反応に供したところ三種類のヒドロキシ脂肪酸が生成した。得られたヒドロキシ脂肪酸を、高速液体クロマトグラフィーを用いて精製しMS-MS, NMR,二次元NMR等に供した結果、10-hydroxy-cis-12-octadecaenoic acid, 13-hydroxy-cis-9-octadecaenoicacid,及び10, 13-dihydroxy-octadecanoic acidであると同定した。また、本反応は本菌の休止菌体や、本菌を超音波破砕により得られる無細胞抽出液を触媒とする反応においても進行することを明らかにした。さらに、本反応を詳細に検討したところリノール酸のΔ9位の二重結合を水和する酵素とΔ12位の二重結合を水和する酵素は異なることを明らかにした。水酸化脂肪酸は、樹脂やワックス、ナイロン、プラスチック、防腐剤、化粧品など工業的にも利用範囲が広く価値のある脂肪酸であり、またCLA生産の中間体としても関与していることから、本菌の水和活性は、さらなる用途に期待がもてる。
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