2008 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気性微生物に特異な新規脂肪酸変換反応の探索と解明
Project/Area Number |
19780056
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸野 重信 Kyoto University, 農学研究科, 助教 (40432348)
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Keywords | 嫌気性微生物 / 乳酸菌 / リノール酸 / 微生物変換 |
Research Abstract |
申請者は、乳酸菌が触媒するリノール酸異性化反応を活用した共役リノール酸(CLA)生産プロセスの確立に成功している。また、この反応を利用し、α-リノレン酸やγ-リノレン酸、ステアリドン酸由来の共役トリエン酸、共役テトラエン酸生産にも成功している。さらに、リノール酸異性化反応は、リノール酸のΔ9位二重結合の水和による水酸化脂肪酸(10-hydroxy-12-octadecenoic acid)の生成と、脱水を伴う二重結合の転移という複数のステップから成り立ち、これらの反応には、少なくとも3つのタンパク質が関与していることを明らかにしている。本年度は、Lactobacillus plantarum AKU 1009aにおける本異性化反応の初発反応を触媒するリノール酸水和酵素(CLA-HY)の諸性質について検討した。 L.plantarum AKU 1009aのCLA-HYは、膜画分に存在するタンパク質であった。本菌のゲノムから、候補遺伝子を選抜し、プライマーを作成しPCRにより増幅後、His-tag融合タンパク質として形質転換大腸菌に大量発現させた。形質転換大腸菌の可溶性画分に発現したCLA-HYを精製し、得られた精製酵素を用いて諸性質を解析した。その結果、本酵素はFADを補酵素とし、リノール酸のみならず、オレイン酸やα-リノレン酸、γ-リノレン酸などを対応する10-hydroxy-脂肪酸へと変換した。 水酸化脂肪酸は、樹脂やワックス、ナイロン、プラスチック、防腐剤、化粧品など工業的にも利用範囲が広く価値のある脂肪酸であることから、本酵素は、さらなる用途に期待がもてる。
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Research Products
(16 results)