2008 Fiscal Year Annual Research Report
染色体活性化ダイナミクスの制御によるストレス耐性細胞の分子育種
Project/Area Number |
19780059
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 浩一 Kyoto University, 農学研究科, 准教授 (30432339)
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Keywords | クロマチンリモデリング / GTS1 / タンパク質間相互作用 / tandem affinity purification / ストレス耐性 |
Research Abstract |
真核生物においてクロマチンリモデリングは、転写・複製・修復などのゲノム機能において重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあるが、その動作原理や制御機構について詳細には分かっていない。酵母のGTS1遺伝子を過剰発現させると細胞凝集、熱耐性、薬剤耐性など多面的な表現型の変化を示すが、これまでに行った遺伝子破壊による解析結果から、GTS1過剰発現の際にクロマチンリキデリングの誘起が示唆されたため、GTS1過剰発現細胞をモデル系とし、クロマチンリモデリング制御機構の解明と熱などのストレス耐性の分子育種を目的として研究を行い、以下のような成果を得た。Tandem affinity purtfication法により、Gts1タンパク質と相互作用するタンパク質の精製・同定を試み、Ssa1を同定した。免疫沈降法により相互作用を確認するとともに、Ssa1と相同性の高いSsa2もまたGts1と相互作用することを明らかにした。定量RT-PCRによりSSA1とSSA2の転写量を測定したところ、定常期においてGTS1過剰発現により転写量の増加が見られた。これらは定常期の熱ストレスによって誘導される遺伝子であるため、GTS1の過剰発現が細胞の熱ストレス応答系を誘起している可能性が考えられた。また、GTS1の過剰発現により熱耐性の向上が見られるが、破壊株(ssa1Δ, ssa2Δ, ssa1Δssa2Δ)においてGTS1を過剰発現させたところ、ssa1Δssa2Δでは熱耐性がより向上した。そのため、Ssa1, とSsa2は相互作用を介してGts1による熱耐性の誘導を阻害していることが示唆され、GTS1過剰発現による細胞の熱耐性誘導機構に関して興味深い知見が得られた。
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