2007 Fiscal Year Annual Research Report
厳密に制御した低酸素条件下における微生物の機能解析と新規微生物の探索
Project/Area Number |
19780065
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Research Institution | Kyoto Gakuen University |
Principal Investigator |
篠田 吉史 Kyoto Gakuen University, バイオ環境学部, 講師 (20434657)
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Keywords | 微生物 / 環境応答 / 発現制御 / 低酸素 / スクリーニング |
Research Abstract |
Magnetospirillum sp.TS-6株という細菌の持つ、2つの異なる安息酸化謝経路の調節メカニズムを調べることで、これまであまり正面から扱われることがなかった、自然界において環境中に酸素が十分に存在する(好気)条件と全くない(嫌気)条件の境界面(微好気条件)にいる微生物の機能について調べている。 19年度の研究では、容器中の酸素濃度を0〜20%に調整した条件下でこの細菌を培養し、安息香酸代謝の鍵となる3つの酵素の遺伝子の転写量(実際にその遺伝子が機能している程度を反映)を調べた。その結果、好気と嫌気の両方の代謝経路で機能する安息香酸CoAリガーゼ(Bcl)の遺伝子は各条件下でほぼ一定量、好気代謝を担うベンゾイルCoAオキシゲナーゼ(Box)の遺伝子は酸素濃度0%とそれ以外でゼロ/サムになるように、嫌気代謝を担うベンゾイルCoAレダクターゼ(Bcr)の遺伝子は酸素濃度の減少にともなって連続的に増加するように、というふうに、酵素によって異なるパターンで転写量が調節されていることを見いだした。 Bcrは酸素に触れると壊れるため、嫌気条件下でのみ働いているとこれまで考えられてきた。したがって、この細菌においてBcrの遺伝子の転写が好気=ゼロ/嫌気=サムではなく、その境界条件において連続可変的に制御されていることは興味深い発見である。今後は酵素のタンパク質としての生産量とその活性を調べることで、この細菌のBcrの酸素耐性やその発現制御機構を明らかにすることが課題となる。
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Research Products
(2 results)