2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規エネルギー代謝制御系・APJ受容体シグナルの生理機能解析
Project/Area Number |
19780070
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石田 純治 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 研究員 (30323257)
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Keywords | 情報伝達 / エネルギー代謝制御 / APJ / Apelin / 遺伝子操作マウス |
Research Abstract |
近年、代謝性疾患において三量体G蛋白質と共役している7回膜貫通型受容体からのジグナルが、その病態の進行や抑制に重要であることが判明しつつある。申請者は最近、7回膜貫通型である新規受容体APJをクローニングした。APJ受容体は心血管系にて発現し生体内において血圧降下作用を有する新しい血圧制御系であることをこれまでに明らかとしたが、糖代謝・脂質代謝に重要な組織においても強発現しており、当研究室にて開発したAPJ受容体欠損マウスにおいては抗肥満作用が確認されるなど、APJ受容体が実際にエネルギー代謝制御に関わっていることが判明した。そこで、新規エネルギー代謝制御系としてのAPJ受容体シグナルの生理機能解明のため、以下の2つに焦点を絞り研究を行うこととする。 (1)APJ受容体シグナルの標的因子の同定も含め、APJ受容体欠損マウスで認められた抗肥満作用やエネルギー代謝亢進作用の分子メカニズムの解明 (2)脂肪組織特異的APJ受容体過剰発現マウスを新たに開発することによる脂肪組織からのAPJ受容体を介する全身性の代謝ネットワーク制御機構の解明 これまでの解析から、APJ欠損マウスにおいて体温の上昇が観察され、高脂肪食負荷時において野生型マウスでは脂肪組織の重量増加やインスリン感受性の低下、また耐糖能異常が認められたものの、APJ欠損マウスにおいてはこれら所見が軽減されていることが判明した。最近、脂肪組織は様々な生理活性物質を全身に供給する活発な内分泌器官と捉えられつつある。そこで、各マウスの白色脂肪細胞からのRNAを用いてマイクロアレイ解析を行っている。また、脂肪細胞特異的APJ受容体過剰発現(aP2-APJ)マウスの開発に成功し、表現型の解析とともに、APJ欠損マウスと交配し、脂肪組織でのみAPJ受容体を有するマウスを作製し、APJ欠損マウスで認められた所見と脂肪組織のAPJ受容体機能との関連を検証している。
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