2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規エネルギー代謝制御系・APJ受容体シグナルの生理機能解析
Project/Area Number |
19780070
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石田 純治 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 研究員 (30323257)
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Keywords | 情報伝達 / エネルギー代謝制御 / APJ / Aelin / 遺伝子操作マスス |
Research Abstract |
近年、代謝性疾患において三量体G蛋白質と共役している7回膜貫通型受容体からのシグナルが、その病態の進行や抑制に重要であることが判明しつつある。APJ受容体は心血管系加え、糖代謝・脂質代謝に重要な組織においても強発現しており、当研究室にて開発したAPJ受容体欠損マウスにおいては抗肥満作用が確認されるなど、APJ受容体が実際にエネルギー代謝制御に関わっていることが判明した。そこで、新規エネルギー代謝制御系としてのAPJ受容体シグナルの生理機能解明のため、以下の2つに焦点を絞り研究を行った。 (1) APJ受容体シグナルの標的因子の同定も含め、APJ受容体欠損マウスで認められた抗肥満作用やエネルギー代謝亢進作用の分子メカニズムの解明 (2) 脂肪組織特異的APJ受容体過剰発現マウスを新たに開発することによる脂肪組織からのAPJ受容体を介する全身性の代謝ネットワーク制御機構の解明 ARJ欠損マウスにおいて体温上昇が観察され、高脂肪食負荷時において野生型マウスで認められる脂肪組織の重量増加やインスリン感受性の低下、また耐糖能異常が、APJ欠損マウスにおいて軽減されていることが判明し、APJ欠損マウスではエネルギー消費が亢進していることが示唆された。このAPI欠損による代謝亢進の作用点として、尿中カテコラミンレベルの上昇を同定した. また、脂肪細胞特異的ARI受容体過剰発現(aP2-APJ)マウスの開発に成功し、aP2-ARIマウスでは、野生型マウスと比較して脂肪組織量や脂肪細胞のサイズの減少が観察された。さらに、aP2-ARIマウスでは、アディポサイトカインであるLeptinの血中濃度の低下が観察され、APJシグナルが脂肪組織の代謝機能に大きく寄与することが明らかとなった。
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