2008 Fiscal Year Annual Research Report
減数分裂の進行に必須なクロマチン構造制御の分子機構解析
Project/Area Number |
19780076
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
湯川 格史 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 助教 (50403605)
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Keywords | 発生・分化 / 減数分裂 / クロマチン |
Research Abstract |
本研究は、出芽酵母の減数分裂進行において、クロマチン構造制御がどのような役割を果たしているか明らかにすることを目的としている。このため、クロマチン制御因子群の減数分裂における新たな生理機能とその制御機構について明らかにすることを目指す。本年度は、まず、酵母の生育に必須なRSC複合体の減数分裂における生理機能について調査するため、RSCの活性サブユニットを欠損させたnps1変異株との合成的ハプロ不全により著しく胞子形成能が低下する遺伝子欠損株を探索した。SGA法により網羅的に探索した結果、hpr1欠損株の取得に成功した。Hpr1は転写伸長とmRNAの核外輸送を共役させるTHO/TREX複合体の構成因子で、体細胞分裂時の遺伝子組換えに働く。従って、RSCも減数分裂時にクロマチン制御と共役的にmRNAの成熟化にも関わる可能性が考えられ、両複合体の機能連携について今後解析を進める予定である。また、本年度は、ヒストン脱アセチル化酵素Rpd3が第一減数分裂の進行に必須であることから、この分子の機能制御についても調査を行った。Rpd3は体細胞分裂時にL型およびS型の二種類の複合体を形成して機能分化していることから、減数分裂時にはいずれの複合体が進行に必要であるかについて調べた。各複合体に特異的な構成因子の欠損株を作成し、その胞子形成能を調べた結果、L型特異的なsds3欠損株の胞子形成能が顕著に低下した。さらに、Sds3は減数分裂初期にGSK3依存的なリン酸化修飾を受け、この修飾は中・後期まで続くことを見出した。Sds3はL型複合体の形成に必須な構成因子であることから、L型複合体はSds3のリン酸化を介して何らかの機能調節を受け、減数分裂の進行に必要な機能を果たしている可能性が考えられた。今後、非リン酸化型変異株を作成し、その表現型について調べる予定である。
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Research Products
(4 results)