2008 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族化合物のバイオリファイナリーのための基盤技術の開発
Project/Area Number |
19780082
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Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
Principal Investigator |
駒 大輔 Osaka Municipal Technical Research Institute, 研究員 (80443547)
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Keywords | バイオテクノロジー / バイオマス / 発酵 / 応用微生物 / バイオリファイナリー |
Research Abstract |
本年度は芳香族化合物に対して作用する酵素の遺伝子をさまざまな細菌よりクローニングした。つづいて、それらの遺伝子を前年度に作製したフェニルアラニン、チロシン、桂皮酸、またはクマル酸生産性の大腸菌に導入して発現させることで、グルコースを原料として多様な芳香族化合物を生産する菌株を作製することを目指した。その結果、フェ二ルアラニン生産性の菌株に今回取得したフェニルアラニンデカルボキシラーゼ遺伝子を導入することで、フェネチルアミン生産性の大腸菌を作製することに成功した。同様にして、チロシン生産菌からチラミン生産菌、桂皮酸生産菌からフェニルプロピオン酸生産菌、クマル酸生産菌からヒドロキシフェニルプロピオン酸生産菌とヒドロキシスチレン生産菌を作製することに成功した。したがって、前年度の成果と併せると7種類の芳香族化合物をグルコースより生産可能な大腸菌を作製することに成功した。 バイオリファイナリーの観点から、さまざまな化合物をグルコースなどの糖質原料から生産する研究が行われていが、本研究における本年度の成果は大腸菌のシキミ経路を利用することでさまざまな芳香族化合物を生産する微生物を作製することが可能であることを示すことができた点に意義がある。加えて、生産可能な芳香族化合物は、ヒドロキシスチレンのような芳香族ポリマーの原料となる化合物から、チラミンのような医薬品原料となる化合物まで多様である。本成果は、現在石油ベースの多様な芳香族化合物の生産を、バイオベースへとシフトしていくための手がかりになるものと思われる。
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