2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムマイニングによる新規ポリケタイド合成酵素の探索及び物質生産系の構築
Project/Area Number |
19780084
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鮒 信学 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (70361574)
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Keywords | ポリケタイド / クルクミン / phenolic lipid / Azotobacter vinelandii / Oryza sativa / ポリケタイド合成酵素 / 脂肪酸 |
Research Abstract |
我々は以前、窒素固定細菌Azotobacter vinelandiiからphenolic lipidの生合成に関与するarsオペロン(arsABCD)を発見した。ArsB及びArsCはIII型ポリケタイド合成酵素であり、phenolic lipidのフェノール部位合成を触媒する。今回、ArsA及びArsDが、phenolic lipidの脂質部位の合成を触媒する新規なI型脂肪酸合成酵素であることが明らかとなった。ArsA及びArsDはmalonyl-CoAから炭素鎖長22、24、26の脂肪酸を合成する。この反応の生成物はArsAに共有結合しているが、反応にArsBまたはArsCを加えると生成物はArsBまたはArsCに受け渡されそれらの基質となる。I型脂肪酸合成酵素からIII型ポリケタイド合成酵素への基質の受け渡しの報告例は無く、本機構を利用した新規ポリケタイドの合成などの応用が期待される。 イネOryza sativaのゲノムは、30種以上のIII型ポリケタイド合成酵素様遺伝子がコードされている。我々は、これら遺伝子の網羅的な機能解析を行っている。そのうちの1遺伝子os07g17010(CUSと命名)は、2分子の4-coumaroyl-CoAと1分子のmalonyl-CoAからクルクミノイドを合成することが判明した。また、CUSは、ウコンの主要なクルクミノイドであるクルクミンの合成も触媒した。これまでクルクミノイドの合成を触媒する酵素の報告例は無く、本活性は非常に興味深い。本発見により、CUSを用いたクルクミンの微生物による生産などが可能になると考えられ、その応用に期待が持たれる。
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