2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19780093
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高橋 亮 Gunma University, 大学院・工学研究科, 助教 (30375563)
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Keywords | 増粘多糖類 / α-グルカン / エルシナン / 多角度光散乱検出器 / HPLC / 溶液物性 / ゲル / フィールドフローフラクショネーション |
Research Abstract |
日本茶葉に寄生する白星病菌Elsinoe Leucospolaは,菌体外に「エルシナン」と呼ばれるα-グルカンを生産する.その結合様式プルランに酷似し,α-(1→3)およびα-(1→4)の2種類から成る.エルシナンはElsinoe LeucospolaをPotato Extract培地またはCSL培地で培養すると大量に生産された.その収量は,炭素源をスクロースとしたときが最も多く,液体培地1リットルあたり6.0gのエルシナンが得られた.なお,Potato Extract培地のほうがCSL培地よりもエルシナンの収率が高くなる傾向が見られた.りん酸源及び窒素源を極端に制限し,pH=3の条件で培養すると,モル質量が一千万g/mol以上の巨大エルシナンが得られた.ガスクロマトグラフィー,薄層クロマトグラフィー,およびメチル化分析の結果,得られた多糖はα-(1→3)とα-(1→4)結合のグルコース残基を2:1の割合で含むことがわかった.新規の試みとして採用した陰イオンクロマトグラフィーの結果も同様であった.培地条件を適宜変更することにより,得られるエルシナンのモル質量は千〜一千万g/molまで任意に設定可変であった.さらに,モル質量の分布もある程度制御可能なことがわかった.モル質量>1×10^4では,水溶液中におけるエルシナンの回転半径および固有粘度のモル質量依存性はプルランと誤差範囲内で一致した.しかし,プルランとエルシナンは水への溶解性や濃厚溶液の粘度特性,ゲル化特性が著しく異なることが知られている.そのような性質は,エルシナンの分子間にプルランには存在しないような特殊な相互作用が働いているためと考えられる.
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Research Products
(15 results)