2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19780094
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴田 貴広 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 助教 (80447838)
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Keywords | 神経細胞 / 神経栄養因子 / 食品成分 / 分化 / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
本研究は神経成長因子(NGF) の作用を代替・増強する食品成分の探索とその作用機構の解明を目的としている。平成19年度において、神経細胞の分化を促進する食品成分として、ワサビに含まれるイソチオシアネートである6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(6-HITC) を同定した。本年度は、この6-HITCの作用機構に関する検討を中心に行った。 6-HITCはラット副腎髄質褐色細胞腫PC12細胞に対して、NGFの作用を増強することから、NGFの受容体であるTrkAに対する影響について検討を行った。その結果、TrkAのチロシンリン酸化を持続・増強することが明らかとなった。このことから、6-HITCはTrkAの脱リン酸化酵素に作用している可能性が考えられたので、次にTrkAの脱リン酸化酵素の探索を行った。いくつかのプロテインチロシンホスファターゼ(PTP) の遺伝子を細胞に導入しその影響を検討したところ、細胞質型PTPであるPTP1BがTrkAの脱リン酸化に関与している可能性が示唆された。実際、PTP1B特異的な阻害剤やsiRNAによりTrkAのリン酸化が亢進すること、substrate-trapping法によりPTP1BがTrkAと相互作用することが確認された。また、6-HITCにより細胞内酸化ストレスが亢進し、その結果PTP1Bの活性が低下する可能性が示唆された。
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