2008 Fiscal Year Annual Research Report
食品由来脂溶性成分の腸管吸収における経上皮輸送に関わるタンパク質の同定
Project/Area Number |
19780099
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
室田 佳恵子 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (40294681)
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Keywords | リンパ / フラボノイド / Caco-2 / 刷子縁膜輸送 / ビタミンE / カイロミクロン |
Research Abstract |
本課題の目的は、食品中の脂溶性成分について腸管吸収過程における粘膜輸送に関わるタンパク質を明らかにし、さらに粘膜通過後門脈あるいはリンパ管への選択的輸送が起こる機序を解明することである。本年度は、前年度に行ったPPARアゴニストによるFATP4の発現増強について追試を行い、アゴニスト処理後のCaco-2細胞において脂肪酸吸収評価を行ったが、脂肪酸取り込みへの影響を見出すには至らなかった。また、ビタミンEについて吸収評価を行ったところ、細胞への取り込みは充分にみられたが基底膜側への輸送が非常に低く、フラボノイドの場合とは大きく異なっていた。すなわち、フラボノイドは抱合代謝物へと変換され、その細胞外輸送には第二相代謝酵素および薬物排出ポンプが関与するがCaco-2において発現しているこれらタンパク質により充分な基底膜輸送がみられること、一方ビタミンEは脂溶性が高くカイロミクロンへの局在が吸収に必須であるもののCaoc-2ではその能力が不十分であることが示された。このように、Caco-2細胞はがん細胞由来のヘテロな細胞株であって正常小腸細胞とは異なること、また種々の操作に対して感受性が低いという不利な性質を有することから、今後はより適した細胞株を見出すことが重要であるといえる。一方、リンパ液/血液輸送の選択性については、リンパへ主に輸送される長鎖脂肪酸トリグリセリド(LCT)と門脈へ主に輸送される中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を用いてフラボノイドの吸収経路に与える影響を検討したところ、LCTの共存によりリンパ輸送が促進される傾向がみられたが、カイロミクロンへの局在は観察されず、またリンパ液中のフラボノイドは殆どが水溶性の高い代謝物であった。すなわち、アポリポタンパク質はフラボイノド輸送には関与していないが、リンパ輸送の促進に伴うリンパ壁の透過性亢進が影響している可能性がある。
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Research Products
(5 results)