2007 Fiscal Year Annual Research Report
環状糖類による機能性香気成分の包接特性の理論化に関する研究
Project/Area Number |
19780100
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石川 洋哉 Kyushu University, 農学研究院, 助教 (00325490)
|
Keywords | 還状四糖 / シクロデキストリン / 分子包接 / 香気成分 / 粉末安定化 |
Research Abstract |
本研究は、新規環状四糖(CNN)を含む種々の環状糖類を用いた機能性香気成分の安定且つ効率的なデリバリーシステムの構築を目的とする。本年度は、まず包接に関わる基礎的知見の獲得を目的として、CNN及び市販のシクロデキストリン(CD)による直鎖状アルデヒド類、アルコール類、・エステル類(炭素数6-10) の包接挙動の検討を行い、その包接特性を解析した。まず、CNNによる香気成分の包接方法を詳細に検討し、最適包接法・包接条件を決定した(CNN20mM、香気成分5mM)。本条件下でCNNの包接挙動を詳細に検討した結果、β-CDとは異なる特異的な包接挙動が認められた。すなわち、β-CDでは香気成分の炭素数の増加に伴い保持率が増加したのに対して、CNNではより低分子の香気成分ほど包接されやすいことが判明した。さらに、各香気成分のlog P値(1-オクタノール/水分配係数)を化学計算ソフトにより算出し包括挙動を解析した結果、β-CDでば包接率とlog P値との間に良好な正の相関(1>0.99)が認められたのに対して、CNNでは相関が得られなかったことから、CNNによる包接が疎水的相互作用に基づかないことが判明し、新たな包接挙動解析法の必要性が示唆された。また、CNNでは複数成分存在下においても低分子化合物を優先的に包接可能であること、すなわち食品マトリックス中の低分子化合物を分子選択的に粉末安定化することが可能であることが示唆された。以上本年度の研究では、新規環状糖であるCNNが、その分子特性を利用して低分子香気成分を選択的に包接すること、さらにその包接力がCDとは異なる新規の包接機構に基づくことを明らかにした。次年度、温度、pH等の影響を含めて詳細な包接挙動の検討を行うと共に、その解析法の確立を目指す。
|