2008 Fiscal Year Annual Research Report
環状糖類による機能性香気成分の包接特性の理論化に関する研究
Project/Area Number |
19780100
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石川 洋哉 Kyushu University, 農学研究院, 助教 (00325490)
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Keywords | 環状四糖 / シクロデキストリン / 分子包接 / 香気成分 / 粉末安定化 |
Research Abstract |
本研究では、機能性香気成分の安定且つ効率的なデリバリーシステムの構築を目的して、環状糖類による分子包接を試み、その包接特性の解析を試みた。昨年度に引き続き、新規環状四糖Cyclic nigerosyl-nigerose(CNN)とシクロデキストリン(CD)による包接挙動を検討するとともに、包接時間、温度等の包接関連因子の影響を明らかにした。さらに本年度は、新規環状四糖Cyclic maltosyl-maltose(CMM)及び新規環状五糖Isocyclo-maltopentaose(ICG5)の包接力の評価も併せて行った。まず、CNNの包接挙動に及ぼす温度、時間の影響を検討した。その結果、室温と5℃条件下では差が認められず、また包接時間の延長(20時間)によっても包接率の増加は認められなかった。次に、包接溶媒(エタノール)濃度の影響を検討した結果、芳香族化合物ではその影響が顕著に現れ、30%以上のエタノール存在下では包接が極めて困難であることが示された。さらに、香気成分のlog P値(1-オクタノール/水分配係数)と結合定数との間に相関が得られていることから、芳香族香気成分の包接ではCDの場合同様、疎水性相互作用、すなわちlog P値と溶媒疎水性のみで包接挙動の予測が可能であることが示された。一方低分子の直鎖状香気成分の場合には、より分子サイズが小さいほど包接されやすい傾向が認められたことから、分子サイズを主体とした解析法の確立が必要と願が得られた。続いて、CNN、CMM、ICG5、α-CD、β-CDの包接力比較を試みた。その結果、CNN、CMMの包接力は弱いものの、ICG5はβ-CDとほぼ同等の強い包接力を示すことが判明した。以上本年度の研究では、環状糖類の包接特性の理論化に必須な関連因子の影響を明らかにするとともに、ICG5が今後期待される有効な包接剤であることを示した。
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