2007 Fiscal Year Annual Research Report
超音波凍結プロセス制御による凍結乾燥製品の最適固体構造の創製
Project/Area Number |
19780102
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
中川 究也 University of Hyogo, 工学研究所, 助教 (90433325)
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Keywords | 凍結乾燥 / 凍結 / 結晶多系 / 氷結晶 / マンニトール / 超音波 |
Research Abstract |
本研究は,凍結乾燥製品(医薬・機能性食品)の品質と製造工程とを相互に最適化するために,予備凍結物質中に形成する濃縮体の固体構造を精緻な凍結操作によって制御しようと試みるものである。精緻な凍結操作を実現するために超音波を用いて氷核形成を制御し,プロセスと製品品質の両者を包括的に最適化する試みを遂行する。今年度は主にマンニトールをモデル物質として検討を行った結果,凍結条件と結晶構造とを結びつける糸口となる知見が得られた。マンニトールには一般にα,β,δ形の三種類の結晶多形が知られており,β(安定形)>α>δ(準安定形)の順に安定性が異なる。さて,本研究より得られたマンニトール凍結乾燥サンプル内の結晶多形分布について検討した。まず,凍結時の冷却速度が遅いほど安定結晶の形成が優位になることが分かった。-0.5℃/minの冷却速度で凍結されたサンプルがおよそ70〜80wt%の安定結晶を含むのに対して,-2℃/m毎で凍結されたサンプルは,凍結開始温度が低い場合には10wt%以下の安定結晶しか含んでいなかった。また,凍結開始温度に依存して含有する安定結晶の割合はおおきく異なっていた。氷結晶成長速度が速いほど,準安定な結晶形が形成される傾向にあった。また,バイアル内部には安定晶の分布が存在し,上位になるに従って安定な結晶形の存在が多くなるような分布を示すことが分かった。注目すべき点は凍結開始温度の違いによってその分布が大きく異なる点であり,これらの結晶構造分布は氷結晶の成長速度と互いによく相関していることが確認された。従って凍結条件を適切に選ぶことによって望まれる結晶構造をもつ凍結乾燥サンプルを作製出来る可能性が示唆された。
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