2007 Fiscal Year Annual Research Report
抗酸化性乳化剤の水系およびエマルション系における諸特性に関する研究
Project/Area Number |
19780106
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
渡邉 義之 Kinki University, 工学部, 講師 (20368369)
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Keywords | 抗酸化性乳化剤 / アシルアスコルビン酸 / 固定化リパーゼ / カテキン / 分解速度定数 / 臨界ミセル濃度 |
Research Abstract |
ビタミンCとして知られるL-アスコルビン酸(AsA)は,水溶性の抗酸化剤として食品および化粧品等に広く使用されている.固定化リパーゼを用いて位置特異的にAsAと各種脂肪酸を縮合させることにより,抗酸化性乳化剤アシルアスコルビン酸(オクタノイルアスコルビン酸;C8AsA)を合成できる.これまでにアシルアスコルビン酸の至適合成条件の検討および脂質に対する抗酸化性の評価等がなされている.しかし,一般に食品は様々な成分から構成される複雑な系を成しており,それらの中でアシルアスコルビン酸のような抗酸化性乳化剤がどのような挙動を示すのかを理解する上で,解明を要する課題が未だ多く存在する.特に,その水溶液中での作用を無視することはできないが,アシルアスコルビン酸の水溶液中での抗酸化性については評価されていない.本研究では,緑茶の渋味成分であり,酸化分解による変色・劣化が問題視されているカテキンに着目し,まずカテキン水溶液にアシルアスコルビン酸を添加し,アシルアスコルビン酸の水溶液中での抗酸化性について検討した. 温度およびpHが高いほどカテキンの酸化分解が速く進んだ.C8AsA濃度が0.01mM以下の場合,C8AsAはカテキンの酸化分解を抑制する作用を示したが,C8AsA濃度が0.1mM以上の場合ではその酸化分解を促進した.得られた結果に一次反応速度式を適用してカテキンの分解速度定数kを決定し,k値のC8AsAまたはAsA濃度依存性について検討した.C8AsAを添加した場合,C8AsA濃度が高くなるにつれk値が急激に増大する傾向が認められた.一方,界面活性を有しないAsA添加の場合にはk値はAsA濃度に依存せず,ほぼ一定の値を示した.このためC8AsAの界面活性に起因する特有の作用が生じていることが示唆された.C8AsAのエマルション系における作用ついて,より詳細な検討が必要である.
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