2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗酸化性乳化剤の水系およびエマルション系における諸特性に関する研究
Project/Area Number |
19780106
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
渡邉 義之 Kinki University, 工学部, 講師 (20368369)
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Keywords | 抗酸化性乳化剤 / アシルアスコルビン酸 / 固定化リパーゼ / カテキン / 分解速度定数 / O / W型エマルション |
Research Abstract |
カテキンと抗酸化性乳化剤アシルアスコルビン酸(アシル鎖長8または16)を用いて,ラウリン酸メチルを油相としたO/W型エマルションを膜乳化法により調製し,40℃でのカテキンの安定性について検討した.Weibull式を適用してカテキンの分解速度定数kを算出した結果,0.001~0.1mMのアシルアスコルビン酸濃度では左値に大きな差異が認められなかった.一方,125mM以上では濃度が高くなるほど殖が高くなりカテキン安定性が低下する傾向が認められ,水系に似た挙動が確認された.この傾向はアスコルビン酸(AsA)添加系においても観察されたため,AsAの高濃度領域でのカテキン分解促進能が水系よりも高いことが示された. リノール酸メチルを油相とし,アシルアスコルビン酸(アシル鎖長8,12または16)を用いて調製したO/W型エマルション中の油相の酸化安定性を測定した.親水性または新油性酸化促進剤を利用して速度論的解析を実施した結果,AsAは油水界面からの酸化に対して,アシルアスコルビン酸は油相内部での酸化に対して抑制効果を示したため,AsAは水相に,アシルアスコルビン酸は油水界面および油相内に主に局在化していることが示唆された.概ね同様な傾向がアシルアルブチンを用いたエマルション系においても観測された. これまでの知見を含めて考察すると,O/W型エマルション系でのアシルアスコルビン酸の水相中カテキンへの抗酸化挙動は水系と似ているものの,局在化の観点から水系でのミセル形成の可能性が強くなったといえよう.
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