2007 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分によるリンパ球ホーミングの組織特異性の制御
Project/Area Number |
19780107
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
横田 彩 Tokushima Bunri University, 香川薬学部, 助教 (30446075)
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Keywords | 食品 / 免疫 / 樹状細胞 / 制御性T細胞 / ホーミング / レチノイン酸 / ビタミンA / 腸 |
Research Abstract |
小腸の所属リンパ系器官の樹状細胞はRALDHを発現し、ビタミンAからレチノイン酸(RA)を有する。RAはリンパ球の小腸へのホーミング特異性を付与するだけではなく、TGF-β依存的な制御性T細胞の分化を促進することから、RALDH陽性樹状細胞は腸管免疫の正と負のバランスを巧妙に調節していると考えられる。そこで、本研究ではどのような腸管環境因子が樹状細胞のRA生成能力の獲得を促すのかを同定した。 1、腸管環境に影響を与え得る種々の因子を検討した結果、GM・CSFが樹状細胞に強くRALDH発現を誘導した。従来報告のあったPPARγとLXRは有意なRALDH発現を誘導しなかった。しかし、RA自身はGM-CSFよりは弱いものの、有意にRALDH発現を誘導した。 2、蛍光基質を用いてFACSを行うことにより、個々の細胞レベルでRALDH酵素活性を簡便に推定する方法を確立した。この方法を利用して、RALDH陽性樹状細胞のサブポピュレーションの同定に成功した。 3、GM-CSFで誘導したRALDH陽性樹状細胞は、T細胞に小腸へのホーミング受容体(インテグリンa4β7とCCR9)の発現を誘導した。また、TGF-β存在下でFoxp3陽性制御性T細胞の分化を促進した。 4、GM-CSFによるRALDH発現誘導はRAによって増強され、RARアンタゴニストによって抑制された。従って、RAは直接的にRALDHの発現を誘導するだけではなく、GM-CSF依存的RALDH発現誘導にも必須であることが示唆された。 以上の結果から、ビタミンA由来のRAがRALDH陽性樹状細胞の機能発現に重要であることが明らかとなった。ビタミンAは食品成分でもあるため、腸管環境のコントロールを比較的容易に行うことができる。そのため、得られた研究成果は機能性食品や医薬品の開発などに大きく発展することが期待できる。
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Research Products
(1 results)