2008 Fiscal Year Annual Research Report
人為攪乱後の広葉樹二次林で食葉性昆虫が大発生するメカニズムの解明
Project/Area Number |
19780110
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
松木 佐和子 Iwate University, 農学部, 講師 (40443981)
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Keywords | 森林生態 / 生物多様性 / 被食防衛 / フェノロジー / カバノキ科 / Glahdular trichome / 昆虫の大発生 / ウダイカンバ |
Research Abstract |
これまでの研究から、人為的撹乱後にいち早く侵入してくる冷温帯林の代表的な先駆樹種であるカバノキ科の樹木について、その食害パターンと防御機構を明らかにして来た。カバノキ属樹木の開葉間近の葉はGlandular trichome(腺毛)によって食害から守られていることを明らかにした。しかし同じカバノキ属でもシラカンバとウダイカンバでは腺毛の密度は大きく異なり、シラカンバの腺毛は圧倒的にウダイカンバよりも多く、食害を受けにくい事が分かった。また同時に、カバノキ科以外の樹種でもカバノキ属で見られた腺毛に酷似した物質が新たに観察された。現在北海道のウダイカンバ林では、本来大規模には発生してこなかったクスサンの大発生が3年間続いているが、シラカンバでは全く発生が見られない。このことから北海道産と岩手県産のクスサンを用いて飼育実験を行ったところ、両県のクスサンに対してウダイカンバは餌資源としてシラカンバより優れていることが明らかになった。岩手県においてなぜ北海道で起きているようなクスサンの大発生が起きていないのか、を調べるため、岩手県におけるクスサンの分布を調べたところ、クスサンはウダイカンバが分布している標高帯にも分布していることが分かった。しかしクスサンの卵塊は好適な餌資源ではないシラカンバの幹で多く見つかるものの、シラカンバ上で終齢まで成長するクスサンは見られなかった事から、ウダイカンバの周辺にシラカンバが多く混在することで、クスサンによる食害が抑えられている可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)