2008 Fiscal Year Annual Research Report
亜高山帯針葉樹林において落葉分解に関わる大型菌類の機能的多様性
Project/Area Number |
19780114
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大園 享司 Kyoto University, 生態学研究センター, 准教授 (90335307)
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Keywords | 森林 / 生態 / 落葉分解 / 菌類 / 生物多様性 / 亜高山帯針葉樹林 / 子実体 / 季節変化 |
Research Abstract |
亜高山帯林土壌において落葉分解に関わる大型菌類の現存量、種多様性とその分解機能の多様性を明らかにし、土壌有機物の集積・分解に果たす大型菌類の役割を評価する。岐阜県と長野県の境界部に位置する木曽御岳山の標高2050メートルにある亜高山帯針葉樹林を調査地とする。研究期間3年間の2年目にあたる今年度には、昨年度の調査結果をふまえて、調査地の林内に設定した50×10mの固定調査区を用いて、落葉分解性の大型菌類に関する調査を継続して行った。6月から10月までの毎月、野外での子実体観察調査を行った結果、期間を通じて18分類群の大型菌類の子実体が観察された。クヌギタケ属のオウバイタケがもっとも高頻度で出現し、同属のナメアシタケがそれに続いた。オウバイタケ、ナメアシタケのいずれにおいても子実体の発生頻度は春から秋にかけて増加する傾向が認められ、また菌類全体でみても同様の傾向が認められた。オウバイタケはコケ層上よりもコケ層のない林床表面で子実体の発生頻度が有意に高かった。ナメアシタケは子実体の87%がリターから、13%が枝・球果から発生しており、リターからの発生頻度が有意に高かった。リター層、腐植層、鉱質土層の菌糸量の平均値は6289、4382、998メートルであった。いずれの層位においても、季節間で菌糸量に有意な変化は認められなかった。この野外観察を通じて、室内で落葉分解能を調べるための分離菌株を53株確保した。来年度にはこの菌株を用いた培養系での接種試験を実施する予定である。
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