2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本産樹木の樹幹における通道特性データベースの構築
Project/Area Number |
19780121
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内海 泰弘 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 助教 (50346839)
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Keywords | 水分通道様式 / 環孔材 / 散孔材 / 立木染色 |
Research Abstract |
本研究では,日本の各気候帯における森林での樹木の水分通道様式の概要を明らかにすることを目的として,冷温帯から暖温帯にかけて生育する主要な樹種の樹幹における水分通道様式を細胞レベルで網羅的に解析している.本年度は九州大学農学部附属演習林宮崎演習林(宮崎県椎葉村)において44種の落葉広葉樹を用いて立木状態で水分通道組織に染色試薬を注入した後,液体窒素を用いて凍結固定し,凍結試料を液体窒素下で回収し保存した.凍結試料は凍結乾燥処理し,顕微鏡用デジタル撮影システムにより水分通道部位を特定した.その結果,解析した8種の環孔材樹種において,孔圏道管は最外の1年輪のみで染料が上昇したが,孔圏外道管は複数年輪で上昇した.また,年輪内の全体の孔圏外道管で染料の上昇が認められた樹種と年輪の後半部のみの孔圏外道管に上昇が認められた樹種が存在した.一方,36種の散孔材樹種ではいずれも複数年輪の道管に染料が上昇した.年輪内の通道様式では年輪全体の道管に染料の上昇が認められた樹種と,年輪の前半部で主に染料が上昇した樹種,年輪の後半部で主に染料が上昇した樹種が認められた.以上の結果から落葉広葉樹の水分通道様式に木部の組織構造に依存した差があることが明らかになった.また,同じ環孔材樹種や散孔材樹種内でも異なる通道様式が存在すしていたが,このような通道様式の多様性の原因を解明するためには木部微細構造の比較解析が必要であると考えられた.
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Research Products
(1 results)