2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内寄生細菌"ボルバキア"がマツノマダラカミキリの生殖機能に与える影響の解明
Project/Area Number |
19780126
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
相川 拓也 Forestry and Forest Products Research Institute, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (90343805)
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Keywords | ボルバキア / 生殖異常 / マツノマダラカミキリ |
Research Abstract |
今年度は以下の2つの調査および実験を行った。 1. 野外のマツノマダラカミキリ個体群における性比およびボルバキアの感染率の調査茨城県内で採集したマツ枯死木から脱出したマツノマダラカミキリ成虫を用いて、雌雄の性比、およびボルバキアの感染率をPCR法により調査した。その結果、枯死木から脱出したマツノマダラカミキリ成虫は雄が22頭、雌が20頭であり性比はほぼ1:1であった。ボルバキアが宿主に引き起こす生殖異常の代表例である"雄殺し"または"雄の雌化"のような性比が雌に偏る規象は見られなかった。また、ボルバキアの感染率は雌雄とも95%と高頻度で感染しているようであった。 2. 抗生物質処理によるボルバキアの除去 ボルバキアに感染していないマツノマダラカミキリ系統を作るため、抗生物質処理によるボルバキアの除出実験を行った。まず、上記1の調査でボルバキアが検出された雌雄を交配させ次世代孵化幼虫を採集した。それら次世代孵化幼虫をテトラサイクリンまたはリファンピシンを含む人工試料で飼育した。これらの抗生物質の濃度を0.05、0.1、0.5または1.0%と段階的に変化させるとともに、飼育期間も2週間、4週間、または6週間と変化させて、マツノマダラカミキリ体内からボルバキアが完全に除去される抗生物質の濃度と飼育期間を調査した。しかし、抗生物質の濃度および飼育期間にかかわらずマツノマダラカミキリ体内のボルバキアを除去することはできなかった。
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Research Products
(1 results)