2007 Fiscal Year Annual Research Report
顕微・分光学的手法による木材保存剤の材内in situ解析
Project/Area Number |
19780138
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
松永 浩史 Forestry and Forest Products Research Institute, 木材改質研究領域, 主任研究員 (80391184)
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Keywords | 保存処理木材 / 固着性 / 薬剤分布 / 劣化機構 / 薬剤溶脱 / EPMA / SEM-EDX |
Research Abstract |
本研究は、顕微・分光学的手法を用いて、保存処理材中の薬剤成分の変性や溶脱現象の把握、および熱処理等による保存処理材中の有効成分の劣化挙動を解明することを目的とする。19年度は以下の検討を行った。 スギ辺材(20(R)mm×20(T)mm×10(L)mm)に市販の銅系水溶性防腐剤を減圧注入し、十分養生を行ったのち、EPMA分析に供した。RAP分光器を用い、加速電圧(5〜30kV)および照射電流量(5nA〜200nA)を可変させながら、Cu-L線の最適な検出条件の検討を行ったところ、加速電圧15kV、照射電流量200nAの下で、Cu-Lα線とCu-Lβ線のピーク強度と分離が良好となった。またこの条件下で、標準試料のCu、 CuOおよびCu2OのCu-Lα、Lβ線の測定も併せて行ったところ、Lβ/Lαの値が全てのサンプルで異なり、銅の価数の違いによるものと推測された。 続いて、薬剤溶脱のメカニズムを解明するにあたり、カーボン等の蒸着を施さなくても無蒸着で観察・分析が可能なLV-SEM-EDX(低真空走査電子顕微鏡-エネルギー分散形X線分光器)に着目した。通常木材のような導電性のない試料を無蒸着で観察・分析すると、帯電現象が起き支障をきたす。そこで、最適な真空度の条件検討を行ったところ、10Pa程度の真空度であれば帯電現象、像質の乱れは起こらないことが明らかになった。また、このときのX線の収集効率は若干落ちるものの、十分分析に耐えうるものであった。その結果、顕微鏡レベルで同一試料内の同一視野における溶脱処理前後の薬剤分布、薬剤量の変化を組織構造と連携させて解析することが可能となった。
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Research Products
(1 results)