2007 Fiscal Year Annual Research Report
海苔の成熟過程におけるアクチンの役割と分子マーカーとしての応用
Project/Area Number |
19780141
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北出 幸広 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究院, 特任准教授 (90399999)
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Keywords | 海苔 / スサビノリ / 成熟 / アクチン / 分子マーカー / 紅藻 / 遺伝子ファミリー / 有性生殖 |
Research Abstract |
海苔養殖技術は浮き流し式システムや冷凍網の開発等により確立されてきた一方で、生産者は現在も海況の変化、藻体の成熟、色落ち、病気等によるノリの収量や質の低下、漁期の短縮等の問題を抱えている。成熟の進んだノリ葉状体の収穫は、海苔製品の質を低下ざせるが、海面養殖でノリの成熟時期を予測することは実際上難しく、かつ成熟をモニターする有効な手段は顕微鏡観察以外にはないのが現状である。本研究は、ノリの成熟過程におけるアクチンの役割を明らかにするとともに成熟をモニターする分子マーカーとしての応用を課題としている。本年度は、アクチン遺伝子の分子生物学的分析を中心に研究を行った。具体的には、先行のスサビノリEST(expressed sequence tag)解析で見つかった4種類のアクチン遺伝子(PyACT1〜4)のうち、全長cDNA配列が含まれなかった2種類について、5'RACE(rapid amplification of cDNA ends)法により未知領域のクローニングを行った。また、得られた複数のクローンについて塩基配列の決定を行った。さらに、4種類のアクチン遺伝子に対して半定量的RT-PCR法による発現解析を行うことにより、そのうちの1つであるPyACT3遺伝子は未成熟ノリ葉状体に比べ成熟ノリ葉状体で有意に発現量が高いことが明らかになった。本年度得られた結果は、PyACT3遺伝子がノリ葉状体の成熟をモニターするための分子マーカーとして役立つかもしれないことを意味する。
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Research Products
(2 results)