2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19780145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勝川 俊雄 The University of Tokyo, 海洋研究所, 助教 (90302679)
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Keywords | マイワシ / 水産資源管理 / レジームシフト / 魚種交替 / RPS / 加入の失敗 / 共有地の悲劇 |
Research Abstract |
マイワシは,日本の漁獲量全体を左右する重要な資源である。マイワシ漁獲量は1988年に単独で450万トンを記録したが,その後は資源量が激減したために,2005年の漁獲量は2.8万トンまで落ち込んでしまった。同時期の日本の海面漁業生産量は1126万トンから441万トンへと減少した。その減少量の65%はマイワシ一種の漁獲量減少によるものである。 マイワシ資源が減少し始めてから20年が経過したが,低水準にあるマイワシ資源の持続性を確保しながら有効利用していくための方向性は,充分に論議されたとは言い難い。またマイワシの変動についても、環境要因ばかりがクローズアップされ、漁獲の影響はほとんど無視されてきた。 マイワシの持続的な有効利用に関する議論を喚起するために、申請者は日本水産学会誌に特集「マイワシ資源の変動と利用」を企画した。マイワシ資源の動態と漁業に関する歴史的経緯についての知見を整理する(第I部)ことで,今後の資源利用のありかたを論議するための基盤を提供するとともに,マイワシ漁業の今後のあり方について、行政官、学識経験者、漁業者団体、加工業者等の多様な関係者に自由に意見を述べてもらい(第II部),合意形成にむけた論点や意見の相違点を明確にし,今後の論議に役立てることを目的とした。第I部では、1960年代から半世紀に及ぶマイワシの歴史を振り返った上で、資源変動を環境要因および漁獲の影響という両面から詳細に検証した。また、第II部では,今後のマイワシ漁業および資源管理のあり方をめぐっては,論者ごとに多様な意見・主張が繰り広げられた。本企画は,今後のマイワシ漁業,ひいては日本の水産業の未来に関する論議に向けての論点整理に貢献した。
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Research Products
(5 results)