2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19780145
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
勝川 俊雄 Mie University, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (90302679)
|
Keywords | マイワシ / レジームシフト / 地球環境変動 / 乱獲 / 資源管理 / 食料安定供給 |
Research Abstract |
水産資源が減少すると、その要因が乱獲によるものか、もしくは自然変動によるものかが、常に議論されてきた。資源変動の要因を、海洋環境か漁獲の二者択一としてとらえて、マイワシのように、環境要因に大きく影響される資源は、漁業の影響を無視して、環境要因のみで資源動態を議論してきた。しかし、環境変動と漁獲は同時に資源に影響を与えるものであり、常に両者を組み合わせて資源動態を把握する必要がある。 日本国内においては、「海洋環境が不適なので、マイワシは獲らなくてもどうせ減る。だからいくら獲っても良い」という意見が主流であった。90年代以降は、毎年4割程度の漁獲が確認されている。本当に獲らなくても減るような資源であれば、高い漁獲圧に10年も耐えられるはずがない。確かに1988-1991の4年間の卵の生残率は殆どゼロであった。この時期には禁漁をしても資源は減少する。しかし、1992年以降の卵の生残率は、以前と同じような水準まで回復している。1992年以降は、マイワシの生産力は決して低くない。むしろ、生産力が高かったから、強い漁獲圧に晒されながらも、現在まで資源が存続してきたのである。 本研究の主要な成果は、マイワシ資源に対する漁獲の影響を定量的に示すことで、マイワシの変動は自然環境のみで決まるという現在支配的な考えに一石を投じたことである。また、資源管理不要論に問題提起を行い、海洋環境の変動に応じて大変動する資源を動的に管理するための理論を発展させた。
|
Research Products
(7 results)