2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本海有害藻類赤潮の発生・維持・輸送機構の解明と監視・予測システムの構築
Project/Area Number |
19780159
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Research Institution | National Fisheries University |
Principal Investigator |
鬼塚 剛 National Fisheries University, 海洋生産管理学科, 助教 (40399647)
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Keywords | 水圏環境・保全 / 赤潮 / Cochlodinium polykrikoides / 日本海 / 対馬暖流 / 生態系モデル |
Research Abstract |
日本海海況予報モデルによる2002-2008年の流動場計算結果(水平解像度1/12度)を用いて、過去のCochlodinium polykrikoides赤潮の発生海域(対馬海峡周辺の4地区 : 麗水(ヨス)沖、巨済(コジェ)沖、蔚山(ウルサン)沖、及び長崎県平戸沖)を初期投入位置とし、ラグランジュ輸送モデルによる粒子追跡シミュレーションを行った。初期投入時期については、韓国国立水産科学院(NFRDI)の赤潮データベースや「九州海域の赤潮(九州漁業調整事務所発行)」により、実際に上記の4地区周辺で赤潮が発生した時期(及びその前後の期間)を設定した。年別の粒子追跡シミュレーション結果によると、投入した初期位置によって粒子の軌跡が異なり、特に2003、2005、2007年に山陰沿岸及び隠岐諸島で発生した赤潮は、韓国沿岸から輸送された可能性が大きいことが示唆された。これらの年には、韓国南東沿岸で南〜南西風によって、粒子が沖合の対馬暖流強流域に輸送される過程が確認されており、この過程の有無が山陰沿岸への粒子漂着に関係する可能性が考えられた。現時点で想定される発生シナリオでは、時系列に従って、(1)韓国沿岸での発生、(2)韓国南東沿岸での南西風、(3)対馬暖流沖合分枝の接岸傾向、以上の要因が全て揃うことが、山陰沿岸での赤潮発生の必要条件であると考えられた。これまで、山陰沿岸での発生の約1カ月前に韓国沿岸での大発生が認められることから、上記(1)-(3)について監視することで、山陰沿岸での赤潮発生可能性を明らかにし、被害軽減に役立つことが期待される。
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Research Products
(5 results)