2007 Fiscal Year Annual Research Report
アジア途上国農村におけるバイオ燃料生産とその持続可能性に関する研究
Project/Area Number |
19780166
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
丸山 敦史 Chiba University, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (90292672)
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Keywords | バイオ燃料 / サトウキビ / フィリピン / 農家調査 |
Research Abstract |
本研究は、バイオ燃料原料作物という新しい生産オプションが途上国の農家経済や意思決定に与える影響を明らかにし、生産拡大が地域の持続的成長にどのように作用しうるかについて検討することを目的とするものである。本年度は、まず、調査対象国として選定したフィリピンについて、バイオ燃料作目の生産動向に関する資料収集を行った。しかし、同国では、用途別生産量やバイオ燃料の国内生産量などのデータが体系的に提供されておらず、食用・飼料用を含んだ全体の作物生産の資料から、将来の生産可能性を推測するとうい方法に頼らざるを得ないことが判明した。入手できた資料を検討した結果、土地制約が強いものの、フィリピンのエタノール生産ではサトウキビが有力な原料作物であることが分かった。同時に、同国では、バイオ燃料普及のための国家政策や、同部門への民間企業の積極的な投資行動がみられるものの、農家段階では大規模な環境変化が起きていないことが分かった。それらを踏まえ、12月に行った現地調査は、サトウキビ栽培の現状の構造把握と、生産を拡大する際の障害、農家意識を把握するものとした。調査農家数は100件程度であるが、データのコーディングとクリーニングとに予想以上の時間が費やされたため、詳細な分析は次年度の課題となる。以下に暫定的なファインディングスを挙げておく。サトウキビ生産の拡大には、予想された資本制約に加えて労働制約が強く作用していること、推奨栽培技術の普及は十分ではなく、農家間格差も大きいと思われること、バイオエタノールは認知されつつあり一定の期待があるが、一方で、製糖業者や政府への不信感が強いため、有効な政策があっても農家への浸透は簡単ではないこと。
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