2008 Fiscal Year Annual Research Report
アジア途上国農村におけるバイオ燃料生産とその持続可能性に関する研究
Project/Area Number |
19780166
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
丸山 敦史 Chiba University, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (90292672)
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Keywords | バイオ燃料 / フィリピン / 農家調査 / 農家意識 / 生産分析 / サトウキビ / ココナッ |
Research Abstract |
本年度は、まず、昨年度フィリピンバタンガス州で収集したサトウキビ農家の生産データとバイオ燃料に関する農家意識調査のデータを再検討し、データの精度を高める作業を行った。サトウキビの生産工程は比較的シンプルであるが、作業の行い方、時期、作業委託(契約)方法、収穫物の分配方法は農家間で細部が異なっており、統一的に整理することに多くの時間が費やされた。統計分析の結果、栽培面積当たりの生産要素の投入量は農家間で大きく異なることものの、生産に規模の経済性はみられず、単一の生産技術で説明される程度が高いこと、地域内の生産フロンティアとの乖離がややみやれること等が明らかになった。また、バイオ燃料についての農家意識については、生産拡大について積極的ではない農家、サトウキビを食料(砂糖)としての利用しないことに心理的負担を感じる農家が多いことに特徴があった。この結果は、サトウキビの主産地であるネグロス島で行った類似の調査とは異なる傾向であった。 今年度の後半ではココナッツ生産に関する研究を行った。サトウキビはバイオエタノールの原料であるが、他方、ココナッツは主要なバイオディーセルの原料であり、フィリピン国内ではエタノールより普及が進んでいる。予備的な調査を行った結果、ココナッツ農家については組織化されていることが少なく調査対象となり得る農家のリストを作成することが難しいこと、生産の意思決定をしている農園主が生産に関する情報を有していないことが多いなど、サトウキビのケースに比べて調査実施に困難が多いことが判明した。そこで、調査を小規模にすること、現地での協力が得やすいラグナ州サンパブロ市周辺で調査を行うこととした。サンパブロ市は伝統的なココナッツの生産地である。収集された農家数は20件である。データの精査はまだ完了していないため、有効調査農家数は不明である。次年度は、このデータを用いて分析を行う。
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