2009 Fiscal Year Annual Research Report
アジア途上国農村におけるバイオ燃料生産とその持続可能性に関する研究
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19780166
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
丸山 敦史 Chiba University, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (90292672)
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Keywords | バイオ燃料 / フィリピン / フィリピン / 農家意識 / 生産分析 / サトウキビ / ココナッツ |
Research Abstract |
本年度は、まず、昨年度、ラグナ州サンパブロ市周辺で行ったココナッツ農家調査のデータの整理及び検討を行った。観測値数は20と少ないが、生産概況と農家意識調査については十分な資料が得られた。しかし、圃場単位で生産要素投入と産出とを調査する項目では、欠損値や産出投入関係が著しく合理的でない観測値が多く、分析に耐えうる精度ではないことが分かった。中規模以上のココナッツ農家では、生産管理をケアテーカーと呼ばれる農園管理者の任せてしまうことが多い。本調査では、農家自身が生産に関わり、生産状況が十分に分かっていることを調査前に確認したが、十分なものではなかったと思われる。そこで、調査対象農家を小規模に限定した上で、もう一つの伝統的なココナッツ生産地の一つであるケソン州のサリヤヤ市において、追加調査を実施することとした。同じく20件の農家を調査したが、1件の農家を除いておおよそ整合的な資料が得られた。分析には、DEA(Data Envelopment Analysis)を用いた。 分析の結果、ココナッツ栽培については農家間の技術的効率性の差異は大きいこと、従って、施肥や除草などの生産管理面で改善の余地があることが分かった。しかし、長期的な観点からは、高樹齢木の更新といった投資が持続的な生産には不可避であることが分かった。また、バイオ燃料に関するに農家の知識水準には地域間、作目間で大きな違いは見られなかったこと、他方で、バイオ燃料の利用推進に対して農家態度は多様であり、住民意識の多様性を考慮した振興政策が望ましいことが示唆された。
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