2007 Fiscal Year Annual Research Report
近現代日本農村における人口移動-満洲移民・戦後開拓・戦後移民-
Project/Area Number |
19780169
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 淳史 Kyoto University, 農学研究科, 助教 (00402826)
|
Keywords | 戦後移民 / 移民政策 / 日系人 / 外国人労働者 / 農民道場 |
Research Abstract |
本年度においては、現在の日系人労働者流入(南米から日本へ)に関して戦後出移民政策(日本から南米へ)がいかなる史的脈絡をなしているのかについて検討を行った。その結果、「定住者」なるビザカテゴリーを設定した1990年の入管法改正を血統主義に基づく労働力輸入政策とする従来の(おもに英語圏における)見解は、かかる史的脈絡を踏まえていない主張であることを明らかにした(入管法改正は、あくまでトリガーとして機能)。なお、この成果は、ITO Atsushi"Historical Context of Japanese Brazilian Workers: Postwar Emigration as Agricultural Policy"としてThe 7th Conference of the East-Asian Agricultural Historyにおいて発表された(2007年9月28日中国・西北農林科技大学)。 また、近現代における日本および日本の勢力圏に関する、(史学・経済史学に限らず)農業・農村・農民を対象とした諸研究について広くサーベイを行い、その成果は「史学・経済史学の研究動向」として『年報村落社会研究』第43集に掲載される(2008年4月中旬刊行予定)。当該論文においては、(1)近年の農民道場研究においては年代や固有名詞など基本的な点での誤りが多く、今後の議論においてまずはかかるレベルでの確認作業を行う必要があること、(2)日本の移民政策が高度経済成長期に終息したかのような記述は実態に反しており、極めてミスリーディングなものであること等を指摘している。
|