2008 Fiscal Year Annual Research Report
アジア圏域途上国における農産物流通近代化のための実践課題に関する研究
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19780171
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
豊 智行 Kagoshima University, 農学部, 准教授 (40335998)
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Keywords | ミャンマー / インド / 豆類貿易 / 輸出税 / 輸入税 / 最低価格支持制度 |
Research Abstract |
本年度はミャンマーにおける豆類の輸出拡大の阻害要因の存在と国内市場への影響を明らかにした。ミャンマーとインドは消費者嗜好の類似性、低い輸送費用や迅速な供給が可能であるといった条件のもと、双方は主要な貿易相手国(ミャンマーが輸出国、インドは輸入国)である。しかし、そこにはインドにおける最低価格支持制度、輸入に課せられる高い税金と輸出禁止措置、ミャンマーにおいても高い輸出税、固定的な為替レートといった貿易阻害要因が存在する。 これらの阻害要因により自由貿易の場合と比べて、インドにおいては国内価格を高位に保ち、ミャンマーからの輸入量を抑制する効果があること、ミャンマーにおいては国内価格を低位に保ち、国内需要量を高める効果があること、経済厚生の観点からみれば、ミャンマーでは生産者より消費者にとって望ましい状態にあることを考察した。 また、ミャンマーの国内価格はインドの国内価格に影響を及ぼすが、その逆は成立しない。これはインドのミャンマーへの輸入依存度が相対的に高いことを示している。この結果はインドにおけるミャンマーからの豆類の輸入量は全体の約90%を占めるが、ミャンマーからインドへの輸出量は全体の約60%であり、他にもインドネシア、マレーシア、シンガポール等の輸出先国を有する事実と整合的である。 本研究で農産物流通近代化の過程において国内需給安定の次の目標と位置づけた輸出拡大は、ミャンマーでは自国の輸出税を削減することにより可能となる。また、インドにおける輸入税の削減や最低価格支持制度の撤廃によりさらに促進されると考えられる。
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